『悪霊』神になりたかった男/亀山郁夫(理想の教室)

かつて、かんたんな新訳の『カラマーゾフの兄弟』にすら力尽きた私だけど、これは短くて読めたわよ!

『悪霊』神になりたかった男 (理想の教室)

『悪霊』神になりたかった男 (理想の教室)


ドストエフスキー『悪霊』のなかの「告白」という「危険な」テクストを危険に読み解くので、とてもスリリングで、読んでいてくらくらしてしまいました。そんな感覚は読書をしていて初めてかもしれない。スタヴローギンが少女マトリョーシャを陵辱したことについて、著者の読みは、マトリョーシャも14歳なんだからまったく無垢な子供というんじゃなくて快楽に目覚めたひとりの恋する女だった、というもので、ぶっちゃけ引きました。言ってることはやばいけど、読む手つきはすごくちゃんとしています。ただ、これを高校生に読ませてどうするんだろう……とは思いました。
卒論を書いているときに、バフチンポリフォニーの考え方というのに突き当たったんだけど、脱線してしまうから深くは触れないようにしていたので、今回それが説明されているのを読んで改めてなぞることができました。