滝山コミューン一九七四/原武史

滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)

滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)


文庫化されて読みました。表紙がかっこいいね。新興団地しかない町の小学校で行われた実験的集団教育の本です。
滝山での例はとても特殊とはいえ、どこでも小学校から高校まで、班に分かれて共同作業をしたり競ったりしなくちゃいけなかったりして、そういうのは今思い返すとわたしすごくいやだったな。当時よりも今のほうがいやだと思っているかもしれない。もう大人なので関係ないのに、わたしの心の中に現前する問題として学校のいやさがあって、それはなぜなのかまだあんまりわかりません。もし自分の子供を学校に入れることになった時、なんか困りそう。
1974年というのは、1965年生まれのさくらももこが9歳の時だから、ちびまる子ちゃんの世界と同じ年ですね。この本には、代表児童委員会という組織が出てきて、演説やポスター等も使って本格的な選挙をするので、丸尾君のことをかなりはっきり連想しました。代表児童委員は、先生の入れ知恵というか強い指導の下、小学校の児童たち全体を先導するんだけど、丸尾君は、特に誰の影響を受けたわけでもなく、学校全体のではなく学級委員になりたくて演説やポスター作りをするんだよね。デフォルメされているというのもあるでしょうがふしぎな少年だ。多摩の当時最先端だった団地の町と、清水ののどかな町と、暮らしは違うところも多いとしても、共通している当時の学校の様子がもしかしたらあるのかなあと思った。
呉智英が「マンガ狂につける薬」でこの本と「ひとりずもう」について書いているみたいなので、それを読もうと思います。