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督促OL修行日記/榎本まみ

督促OL 修行日記

督促OL 修行日記


クレジット会社で、お金を振り込んでいないお客様に督促を行う仕事のOLさんの体験談ブログを元に書籍化した本です。
高ストレスな職場で元来おとなしい筆者が、ハードワークに見舞われたり戦場を去ってゆく同僚達を見ていったりしながら、やり方を工夫して仕事を乗り切っていく様子が描かれています。
わかりやすくしたり、おもしろくしたり、プライバシー保護の観点から、事実と異なる記述があるのだろうとは思いますが(例えば業界に詳しくないわたしが思ったのは、筆者が一浪新卒の20代だと、キャリアとブログ開設時期からリーマンショック後の2010年度以降入社ってことはないだろうし、書いてあるように超氷河期の就職難に仕事に就いたってことはないか、もうちょい上の方なのかもなーっていうことぐらいでした)、特に違和感なく、配慮された語り口とゆるかわいい挿絵で、ほっとした気持ちで読めました。
筆者の榎本さんのやさしい人柄を感じ、とても好きな本だなーと思います。それに尽きます。
お金・信用を失ったお客様の立場や、おそろしいクレームを入れてくるお客様の考えを想像したり、病んで脱落していく職場の人々をいたわる文章に、わたしも癒されました。
こんまり先生も同様なんですけど、自分と年齢が近い女性の方で、さらりとした文章でエクストリームな体験から編み出したテクニックを語るお話は、身近さと遠さ、とっつきやすさと重さがいい塩梅なので、今のわたし自身が教えを受け取るにはちょうどいい本だなあと思っています。
刺さるなあ…と思ったところが、「プライドを満たしてあげるのは女性のほうが得意」「かわいい同期の子が女子力を武器にして督促に成功」といった部分です。キャリアや経験のない若手の女性社員がおじさんのプライドをうまく満たして丸く収めるというのが、実際わたし自身がうまくやるのにかなりしんどいな…と思います。どうにも気が利かなくてうまくやりきることはできなくてつらいし、でもおじさんたちの中では若い女性だから配慮されたり大目に見てもらっている部分ももちろんあるでしょう。
西原理恵子さんの「生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)」の中でも、ホステスを演じてみると思ってやってみなというような人生相談回答を読んだので、ホステスに徹することのできない自分、というのは今わたしの中でわりとずーんとなるトピックですね……。そんな自分を肯定できる境地にまでいけたらいいですね。
あと、やっぱりコールセンター勤務で心に不調を来たす人が多いということで、コールセンターといっても多種多様なのでしょうが、朝日新聞に12年11月に載っていた記事(現在電子版は会員のみ読めるようです)のことも思い出しました。ヤマダ電機の池袋店の問い合わせコールセンターが沖縄に設置されていて、企業のコストカットと地域雇用の創出に役立つ一方で、オペレーターの方達は日々辛く理不尽なクレームにも直面していて、たとえば行ったことのない池袋の道順を頭に叩き込んで対応している、というような内容でした。
わたしはクレームを入れることは苦手なんですけど、安い服を着て安い食べ物を食べるのがわりと好きなので、いまのデフレの世の中の真っただ中にいるな…と日々思って生活しています。景気が良くなって、つらい仕事を安いお金でやったり(筆者のお給料はわからないけど)長時間労働で帰って倒れて眠るだけのような苦しい生活をしている人たちがもっと楽になってほしいですね、わたしももっと給料上がってほしいし!!
本の中での例で、お客様に50万円の督促をする時に、謝ったら50万円もらえると考えてみればだいたい誰でもやるだろう、お金をもらってこれで食っている仕事のプロなんだと割り切ることで自分の心を守ることにつながっているんだ、とあったのだけど、50万円督促する仕事で担当者がもらえるお金が50万円なわけではないし、少なくしかもらえなかったらつらいじゃん、よくわかってないけど景気が良くなれば働く人も少しは楽になるのかなと思う、そうなればいいなあと思います。