持ち重りする薔薇の花,裏声で歌へ君が代/丸谷才一

持ち重りする薔薇の花

持ち重りする薔薇の花


裏声で歌へ君が代 (新潮文庫)

裏声で歌へ君が代 (新潮文庫)


ひさびさに丸谷才一の本を読むモードになっています。
持ち重りする〜の方は、なんだかさらっとあっさりしているし、開き直ってけろりとしているようだなあという感想だったんだけれども、クヮルテットのメンバーは普段の生活で仲良しこよしというわけじゃなくても、演奏し始めると息がぴったり合う不思議、という箇所はやっぱそうなんだろうね、ロックバンドにもそういうのがいるよね、と思いました。クヮルテットというのは、ひとつの薔薇の花束を4人で抱え持っているようなものだ、という喩えが気に入ったので、わたしもラルクを見たら、この4人でずっしりとした薔薇の花束を抱えているんだなあ、と思うようになるでしょう。
裏声で〜の方は、丸谷才一の長編の中でもとても好きな内に入るなと思いました。読んだ後は自分がそれまで見ていたものが違うように見える感覚があって、おもしろかったです。台湾についてあんまり考えたことがなかったけどもっと知りたいなと思います。
台湾というキーワードもあって、君が代というのはもともと天皇の御世が末長く続きますようにという意味ではなくて、恋の歌だった、という説が登場したとき、「ハナミズキ」の「君と好きな人が百年続きますように」を連想してしまいました。
どっちにもお軽、勘平の名前がちらりと登場するんだけれども、仮名手本忠臣蔵のとても有名なキャラクターなんですね。わたしは全然歌舞伎とか忠臣蔵とか頭に入ってこない分野で、なんにも知らなかったので(丸谷才一の超代表作『忠臣蔵とは何か』すら読んでない有り様)、子ども用に書かれた本で入門しました。ネコの俳優一座が演じているていでかわいらしく、とっても読みやすかったです。
仮名手本忠臣蔵

仮名手本忠臣蔵