はてなダイアラー漫画名選/「敷居の住人」

志村貴子敷居の住人」全7巻/ISBN:4757702116

好きな漫画はいっぱいあるけれど、いやむしろこれより好きな漫画もある気がするけれど、自分自身と近づけて読めた漫画はこれ一つなので、選びました。
ミドリちゃんことミドリ頭の男子高校生ちあきが、ダラダラと逡巡しながら若さを費やす、というだけのお話。
私がこの作品を読んだのはちょうどちあき達とだいたい同い年で、私の青春もただ何もなくグダグダしているだけなので(今も進行形で)、とても思い入れがあります。中でもヒロイン的な存在のキクチナナコさんには特に。私はキクチさんのようにお金持ちでもなく親は離婚も再婚もしないし、全く美少女ではないけれど、漫画を読むのとほぼ同時に、全く意図せず漫画と同じエピソードを行ってしまいました。たとえば、私も修学旅行に行けなかったりとか、テディベアを作ったり、鎌倉に行ったり、先生を好きになって一方的に凹んだり、あと友達がいなかったり(!)とか色々。(しかもこの記事を書いたあと不登校になりました!)特に修学旅行に関するくだりでは泣いちゃったよ。
けれど私がこの前読んでいて気づいてしまったのは、キクチさんにはミドリちゃんがいるけれど、わたしにはいなかったなってこと。たとえば「ドラえもん」の読者が、自分も小学生の時勉強ができなくてジャイアンみたいのにいじめられていたけど、未来からドラえもんが来てはくれなかった、って気づくのとおんなじ。そこの部分で、私はこの漫画を大事に思ってしまいます。
よく考えるとミドリちゃんは全然ダメ人間に属さないんだけどね。美少年だしさ。冒頭から、美少年が痴漢に遭う、というありえないエピソードで、全編わりと突飛な話だというのに、読者に自分も若い頃こうだったなあと思わせてしまうのは不思議ですね。リアリティとかそういうことじゃないんだろうなという気はする。てゆうかミドリ頭のやつなんてそうそういねえ。